救急救命センターと一般病棟の違いについて。
投稿日:2024年12月30日
事故後に運び込まれた救急救命センターと、手術後に移動した外科一般病棟の違いについて、気がついた事をメモしていきます。
■常時監視
患者として一番大きな違いは、常時監視なのか患者任せなのかでした。
救命センターは何かあれば即対応できるよう、24時間の監視状態でした。ナースコールを落としてしまった時、手首から先をパタパタと動かすと「どうしました?何かありましたか?」と数秒で看護師が来てくれました。
■医師や看護師との物理的な距離
救命救急センターでのベッドは、医師や看護師の執務スペースから丸見えの位置です。ただ、患者の状態に応じてベッドの位置が移動するためか、2回の引越しがありました。
(1) 最初に運び込まれた時は、医師とは通路を挟んだだけのすぐ隣に寝ていました。
(2) 緊急状態を脱したと判断されたのか、ガラス窓で区切られた数メートル離れた部屋に移動。最初の手術を受けました。
(3) 術後の状態が安定したためか、また数メートル移動して別の部屋へ。そこはカーテンで仕切られてドアも閉まる部屋でした。常時監視から脱して、結構自由にテレビを見たりできました。
そんな状態でしたので、看護師が常に寄り添ってくれるようでした。
一方の一般病棟ですが、こちらは基本的に自立(自律)して生活できることが前提になっているため、患者から看護師に何も言わないと「問題は発生していない」と判断されます。看護師による、日に数回のチェック(体温、血圧、投薬、排便確認)はありましたが、それ以外で看護師が来ることはありません。まあ、それだけ体の状態が大丈夫だと判断されているのだと思います。
お見舞いに行ったり、ドラマを見たりしたことがあれば分かると思いますが、たくさんの病室と1つのナースセンターという配置でした。4人部屋に入りましたが、それぞれの患者のスペースはカーテンでしっかりと区切られています。隣のベッドがどんな人なのか、最初の数日はわかりませんでした。ある意味ではパーソナルスペースをもらえていると考えてもいいかもしれません。
■看護士との心理的な距離
救命センターは、看護士1人で患者2人くらいの配置で、接触回数が多く時間も長いので世間話ができたし、段々と打ち解けて個人的な話題も出ました。一般病棟の方は看護士1人で患者10人くらいの配置でした。担当する患者が多くて、看護師側に余裕がなく、ほぼ全てが流れ作業で、会話できるのは体温チェックするときの1分ほどです。
看護師はどちらも日勤、夜勤のシフトだったので、登場人物が毎日2人で顔と名前が一致する暇がありませんでした。
■動作の主語
例えば「体を拭きますか?」と質問された場合の違いはこうなります。救命センターでは「看護師が体を拭くので、患者は寝ているだけでいいです」という意味になります。一般病棟では「蒸しタオルを渡しますから、自分で拭いてください。届かないところがあれば手伝います。」です。
■何でもやってくれる
救命センターは、基本的には看護師が何でもやってくれます。食事のときには、時間も患者の希望が優先されますし、スプーンを持てますか?食べさせましょうか? と常に患者ができるか気にしてくれます。食事の介助、歯磨きの準備や後始末、トイレの介助もです。一般病棟は自活できる前提なので、食事の上げ下げ、体温などのチェック以外は放置でした。
■服装
救命センターは病院からの貸し出しです。パジャマではなくて、病院側が脱がせやすい手術着のようなものでした。一般病棟は患者が持ち込んだパジャマです。ただ、事故現場から運ばれて入院したため自前のパジャマが無くて、院内のコンビニで買いました。そのパジャマは退院してからも、今でも着てます。
■排泄
救命センターではオムツをして、バルーンもつけていたため、一人でトイレに行くのは禁止されてました。まあ、色々とセンサーを付けていたので、身動きはとれなかったのですが。
そして、救命センターでの一番のハードルは排泄でした。オムツに出すように言われましたが、ダメでした。心理的なハードルがとても高くて無理でした。手術前に必ず排泄する必要があり、最終的には浣腸してベッド隣に置かれた「おまる」を使いました。この時だけはパーティションで、他の人から見えないように隠してくれました。
そして、それ以外の排泄後も、必ず看護師によるチェックがあります。水を流さずに、ナースコールで看護師を呼ばなければなりません。その点については不思議と羞恥心は無く、淡々と作業をこなす感じです。もし、これが恥ずかしく感じたら、入院生活はとても心理的な負担が大きくなると思います。
救命センターでの生活は、高齢になって寝たきりになって介護される、その時の予行演習と考えてました。
一般病棟に移ってからは、自由にトイレに行けましたし、排泄後のチェックもありません。夕食前の体温チェックの時に「今日は出ましたか?」と聞かれただけです。
■外界からの隔離
救命センターは窓がなく、昼も夜も分からず、外の音も聞こえません。明かり取りの天窓付近に明るさの変化があり、昼夜が何とか予測できる程度でした。
一般病棟は窓側の区画に入れたこともあり、壁一面のガラス窓から外が見えました。昼夜の移り変わりが分かり、天気が分かり、見える庭の花の様子から気温が上がってきていることも分かります。季節の鳥や、庭に住み着いた猫も見えました。だだ、厚いガラスのせいで音はほとんど聞こえませんでした。部屋に慣れてくると閉塞感も感じるようになりましたね。音が聞こえないということで、あんなにストレスを感じるとは思いませんでした。
■食事
食事については、救命センターも一般病棟も違いはありませんでした。怪我での入院であったため、食事は一切の制限無しで出してくれました。救命センターにいたときに「焼きそば」が出た事があり、看護士と一緒に「こんなジャンクっぽいのが出るんだ!」と驚いて顔を見合わせました。でも、そういうのが美味しかったです。
患者氏名、何日のいつの食事なのか、そしてメニューが書かれた紙が食事のトレーに乗っていました。毎食、そこに食事の感想を書いて戻していました。医師、看護士にはいつでも感謝を言うことができますが、給食室にお礼を伝える方法がそれしかなかったんです。
そうしたら、あるときに栄養士が来て、コメントを返していることにお礼を言われてしまいました。そして、食事の希望があるかきかれ、朝のパンを増やして欲しいとお願いしたら、次の日から2枚になりました。
■電動ベッドは必須
入院中の必須設備は電動ベッドだと思います。上半身を起こしたり、足を上げたりすることはとても重要です。寝てばかりいると、腰が伸びて痛い、体重がかかる背中が痛い、足がむくんでダルい等々、普段の生活から考えられない痛みが発生します。体重がかかる場所を変更できる、自分で操作できる電動ベッドは絶対に必要です。
もし、また入院することがあったら、電動ベッドがあるか必ず確認します!